図書館って、意外と知らないことがいっぱい!
『税金で買った本』は、図書館の舞台裏と、ちょっと不器用な人たちのやりとりが描かれる、お仕事コメディ漫画です。
ヤンキーの高校生バイトや、筋肉ムキムキな図書館員など、登場人物もかなり個性的。
けれどそのやりとりは不思議とリアルで、読んでいるうちに図書館や本のことがどんどん好きになっていきます。
この漫画の魅力を、以下の3つのポイントでご紹介していきます。
- 図書館で働く中で成長していく高校生・石平くんの姿
- 本と笑いが詰まった、テンポのいい図書館コメディ
- 図書館の仕事のリアルと雑学がおもしろい
本を通して誰かとつながることや、知らない世界にふれることのおもしろさが、ちょっとずつ胸に沁みてくる。
読んだあとには、図書館に行ってみたくなる。そんな作品です。
マンガアプリ『マガポケ』に掲載されているので、まずは無料で読んでみてください!
あらすじ
図書館に久しぶりにやってきた、ヤンキーの高校生・石平。
昔読んだ本を探しに来たはずが、まさかの10年前の未返却が発覚。
最初は「時効だろ」と開き直っていたが、税金で買った本の大切さを説明されて、渋々弁償することに。
そんな出来事がきっかけで、石平は少しずつ図書館に足を運ぶようになる。
そして石平は、アルバイトとして図書館で働くことに。
図書館の中で出会う人、目にする風景、そして棚に並ぶ本たち。
気づけば石平は、本を読むこと、知ることの楽しさを思い出していた。
舞台は静かな図書館。だけど、描かれるのはとてもにぎやかで、笑って、少し切なくて、やけにリアルな日々の連なり。
これは、“税金で買った本”をきっかけに、ちょっとだけ世界が広がっていく物語。
漫画『税金で買った本』の魅力①|ヤンキー高校生・石平が本を通して変わっていく成長物語
主人公・石平くんは、素直な一面もあるヤンキーの高校生。
「自分はバカだし勉強は嫌い」――ずっとそう思って生きてきました。
けれど図書館でのアルバイトを始めて、本や人との出会いを重ねていくうちに、少しずつ変化していきます。
本の中の知識にワクワクしたり、ふとした疑問を調べたり。
実は、好奇心があって、知ることが好きだったのです。
そんな石平くんにヤンキー仲間が「バカのくせに勉強しても意味がない」という言葉を放つ。
一度はその価値観に負け、自分を誤魔化してしまう場面もあります。
だけど、図書館での毎日は、出会いと気づきの積み重ね。
「勉強が嫌い」だったのではなく、「押し付けられること」や「比較されること」が嫌いだっただけ。
「俺はバカだけど、本を読むのが楽しくてしょうがねぇんだ!」
そう言えるようになるまでの石平くんの変化は、とても静かで、でもまっすぐ。
“自分は自分”と胸を張れるようになるまでの姿が、じわじわと心に響いてきます。
この漫画は、大きな事件がなくても“人が変わっていく”ことを、静かにしっかり描いているところがすごい。
「自分は自分」、「好きなことを好き」と胸を張って言えるようになる石平の姿が、そっと背中を押してくれます。
漫画『税金で買った本』の魅力②|まじめそうだけど笑い満点!本と人が織りなす図書館のドタバタ劇
「図書館の漫画って、なんだかまじめそう」
そんなイメージをいい意味で裏切ってくれるのが、『税金で買った本』の魅力のひとつ。
この作品、実はしっかり“コメディ”なんです。
たとえば、筋トレに目覚めたムキムキの図書館員・白井くん。
図書館に現れるクレーマーや迷惑な利用者にも、鋼の肉体と筋金入りの正論で立ち向かう姿は、ギャップと勢いが抜群で、思わずクスッと笑ってしまいます。
そして特に印象的なのが、本の内容と登場人物のやりとりが自然に重なっていく構成です。
たとえばある回に登場するのは、名作『フランケンシュタイン』。
制御できない怪物を生み出した博士の後悔を描いた物語です。
白井くんも、かつては貧弱な文学青年でした。
ある日、同僚の早瀬丸さんが悪質なクレーマー対応に悩んでいたとき、白井くんが電話を代わると、相手は即座に通話を切る。
立場的に言い返せない弱い人間を攻撃してくるのが許せない白井くんは考えます。
「人間も動物だから見た目が強そうならナメた真似はしない」——
それに対して早瀬丸さんは、ふとひと言漏らしてしまいます。
「すっごく体を鍛えて強そうになるのはどう?」
その結果、“図書館の怪物”白井くんが誕生してしまうのです。
本の内容がキャラクターの心情や行動とぴたりと重なる。
「なるほど」と腑に落ちる演出が、この作品には随所に散りばめられています。
文学や知識の引用がさりげなく活きていて、それを肩肘張らずに楽しめる。
その絶妙なバランスも、『税金で買った本』の大きな魅力です。
また、基本的には1話完結型のストーリーなのでテンポもよく、どこから読んでも楽しめます。
本にあまり馴染みがない人でも、抵抗なく手に取れる気軽さと読みやすさ。
そして、実際に本を読んでみたくなります。
“図書館”という堅いイメージのあるテーマに、ユーモアと人間味をほどよく詰め込んだ一冊。
『税金で買った本』は、本と笑いがちょうどいい距離感で詰まった、温かくて心地いい図書館コメディです。
漫画『税金で買った本』の魅力③|図書館って、こんなに大変だったの!?読んで知る裏方の努力
図書館で働くのは楽そう?
そう思っている人もいるかもしれません。
でも実際は、かなりの重労働。そして繊細な判断が求められる仕事なのです。
たとえば、返却された本を棚に戻すだけでも一苦労。
まず運ぶだけでも重労働だし、スペースがなければ何段もずらして、絶妙な位置に差し込む必要があります。
想像以上に“体力勝負”。図書館って、意外と力仕事なんです。
それだけではありません。
貸出・返却の対応はもちろん、どんな本が読まれているか、どうすればもっと利用されるか――
図書館員は、裏方として本の管理や修理を行いながら、日々の運営にも関わり、常に利用者のニーズに目を向けています。
『税金で買った本』では、そんな図書館の仕事が、ひとつひとつ丁寧に描かれています。
読んでいると、「あ、これ知らなかった」とか、「これから気をつけよう」と思える場面もたくさん。
たとえば、子どもが本を破ってしまって、セロテープでくっつけて返すケース。
気持ちはわかるけど、時間が経つとテープが劣化してベタベタに。修理の妨げになってしまうんです。
図書館では専用の修理テープを使って、ちゃんと直しています。
また、寄贈本も「いらなくなったけどもったいない」と何でも持って行っていいわけではありません。
置き場所にも限りがあるし、情報が古い本や利用者のニーズに合わない本は、残念ながら図書館ではなかなか活かしきれないことも多いのです。
人気の本や郷土資料など、本当に必要とされるものだけを丁寧に選んで受け取っています。
こうした“気づき”が、決して説教くさくなく描かれているのも、この漫画の魅力。
気づけば自然と、図書館でのマナーや知識が身についていきます。
そしてもうひとつうれしいのが、物語の中で自然と雑学や知識が増えていくこと。
「十六夜(いざよい)」という言葉は、キャラクター名などで知っている人もいるかもしれません。
でも「十七夜」は?「十五夜」は?なぜその3つだけ特別な読みがあるのか?
作中では、そんな月にまつわる言葉の由来を調べていく過程も描かれています。
些細な疑問をきっかけに知識が深まっていく、まるで図書館で勉強しているような感じがする作品です。
まとめ
『税金で買った本』は、“図書館”という身近な場所を舞台に、ちょっと不器用な高校生の成長とやりとりを描いた、お仕事コメディ漫画です。
- ヤンキー高校生・石平くんの成長物語
- 本と笑いがつまった、軽やかで温かなコメディ
- 図書館の仕事やマナー、ちょっと役に立つ知識も自然と学べる
この3つの魅力が、読者をぐいぐい引き込んでくれます。
静かだけどにぎやかで、クスッと笑えて、じんわり胸に沁みる。
読み終えるころには、きっとあなたも、図書館がちょっと好きになっているはずです。
本が好きな人にも、そうじゃない人にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

