漫画『サマータイムレンダ』感想|謎と恐怖の連鎖に引き込まれる、完成度抜群のSFサスペンス

“影”を見た物は”影”に殺される——

今回紹介するのは、SF×サスペンスの傑作『サマータイムレンダ』。

夏の離島を舞台に、”死”と”謎”が繰り返される。

一見さわやかな少年少女の再会から始まる物語は、気づけば張り詰めたサスペンスへと一気に加速していきます。

この作品の魅力はなんといってもこの3つ。

  • 夏の青春物語が、一転して恐怖に変わるサスペンス
  • 南雲竜之介の参戦で一気に広がるバトルと、加速するストーリー展開
  • 制限つきタイムリープと敵の知略が織りなす、極限の頭脳戦

手がかりを探すたびに真相が遠ざかる。

誰が敵で、誰が味方なのか——

『サマータイムレンダ』は、ハラハラする展開の連続でページをめくる手が止まらない極上のSFサスペンスです。

ミステリー、恋愛、青春、バトルなどがすべて詰まった最高の漫画。

この作品については、何を言ってもネタバレになってしまいそうなので、ぜひ何の情報もなく読んでみてほしい作品です。

※この記事は漫画『サマータイムレンダ』1~5巻のネタバレが含まれています。作品をより楽しむために、未読の方はご注意を!

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目次

あらすじ

網代慎平(あじろしんぺい)は、幼なじみの訃報を聞き、2年ぶりに故郷の離島・日都ヶ島(ひとがしま)へ戻ってきた。

島の人々から可愛がられて育った、明るく活発な少女・小舟潮(こふねうしお)。

潮は溺れた子どもを助けようとして亡くなった——

しかし、悲しみにくれる葬儀で、慎平は「潮の死には不審な点がある」と耳にする。

住民の失踪。そして島に古くから伝わる”影の病”の噂。

“影”を見た物は”影”に殺される——

”影の病”の謎と、潮の真相に迫る中、やがて慎平も命の危機にさらされる。

怒涛の展開を繰り広げる極上のSFサスペンスです。

漫画『サマータイムレンダ』の魅力①青春とホラーが交錯する戦慄のサスペンス

『サマータイムレンダ』の表紙を見たとき、「夏の青春恋愛ものかな?」と思うかもしれません。

実際、物語のはじまりは潮(うしお)の妹・澪(みお)との再会から始まります。

どのキャラクターも魅力的で、ひと夏の青春の物語としても十分におもしろくなりそうです。

けれど、読み進めるにつれて不穏な空気が漂い始めます。

この作品、実はかなりホラー寄りです。

舞台は、和歌山県にある離島・日都ヶ島(ひとがしま)。

島には、“影の病”という不気味な言い伝えが残されている。

その正体は——本人を殺して入れ替わる“影”。いわばドッペルゲンガーのような存在です。

誰が本物で、誰が“影”なのか。

味方だと思っていた人が、突然敵に変わる息の詰まるような展開が続きます。

ほのぼのとした島の雰囲気とは裏腹に、ひたひたと忍び寄ってくる“影”の存在が、物語に得体の知れない恐怖と緊張感を生み出していきます。

そして夏祭りの日、死んだはずの潮が、慎平(しんぺい)の前に現れる——

『サマータイムレンダ』は、青春とホラーが巧みに混ざり合った、爽やかさと不気味さが共存する異色のサスペンスです。

漫画『サマータイムレンダ』の魅力②圧倒的スピード感とクライマックス続きの展開に引き込まれる

『サマータイムレンダ』は、ただのホラーやサスペンスにとどまりません。

人気作家・南雲竜之介(なぐもりゅうのすけ)の登場をきっかけに、“影”とのバトル展開が始まります。

狩られる側だった人間が、反撃に転じるときです。

慎平と南雲が協力して“影”に立ち向かう姿には、サスペンスだけでは味わえない、手に汗を握るような高揚感があります。

そして、物語が進むにつれて展開はさらに加速。

先の読めない圧巻のストーリーと、張り詰めた空気感が、最後まで途切れずに続きます。

クライマックスの連続で緊張感とスピード感に引き込まれ、ページをめくる手が止まりません。

そして迎える夏祭りの日に、“影の母”が復活する。

阻止しなければ、全員影に殺される——

漫画『サマータイムレンダ』の魅力③|タイムリープを使った攻防を描くSFサスペンスの真骨頂

『サマータイムレンダ』最大の特徴は、タイムリープを使ったSFとサスペンスの組み合わせです。

主人公・慎平は、自身の“死”をきっかけに時間を巻き戻すことができる能力を持っています。

ただ、何度もやり直せるわけではありません。

ループのたびにスタート地点が少しずつ先に更新されていくという制限つき。

失敗するとやり直せないという緊張感もあります。

さらに、ループできても一方的な有利でもありません。

“影”たちは対象の性格や記憶をコピーできるため、慎平がループしていることにも気づいてしまいます。

物語中盤、慎平たちは“影の母”の復活を許してしまい、仲間が次々と倒れていく絶望の展開へ。

世界が終わろうとするその瞬間、南雲竜之介が慎平の言葉を信じて銃弾を打ち込むことで、ギリギリのループが発動する。

しかし、それもつかの間。“影の母”は慎平のタイムリープに干渉する力さえあります。

“影の母”にループの存在がバレたときの「見ぃつけた」という一言には、戦慄が走りました。

制限の存在と、敵がタイムリープに対応してくることで、戦いはどんどん知能戦へと進化していきます。

ループを繰り返すたびに少しずつ変化していく状況、迫りくる敵、削れていく猶予時間。

何度も読み返したくなる緻密な構成と、驚きに満ちた伏線回収。

まさに「すべてが伏線」と言っても過言ではない完成度です。

『サマータイムレンダ』は、緻密な構成と緊張感の連続に息をのむ、極上のタイムリープ型サスペンスです。

まとめ

『サマータイムレンダ』は、ひと夏の青春、謎に満ちた離島の伝承、そして“影”との戦いが交錯する、極上のSFサスペンスです。

注目してほしい魅力は、この3つ。

  • 青春物語の爽やかさと、潜む“影”の不気味さを両立させたサスペンス
  • 南雲竜之介の参戦で一気に広がるバトル展開と加速する物語
  • 制限付きタイムリープ×知能戦の緊張感と、張り巡らされた伏線の完成度

青春×ホラー×バトル×ミステリー×SF──

あらゆるジャンルが融合しながらも、緻密な構成と絶妙なバランスで、ひとつの物語として美しく成立しています。

『サマータイムレンダ』は、何度も読み返したくなる傑作SFサスペンスです。

13巻で完結とは思えないほど濃厚で、まだまだ語りきれません。

ぜひ読んでみてご自身の目で結末を確かめてください!

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