漫画『虚構推理』感想|“真実よりも納得できる嘘”で怪異に挑む知略ミステリー

真実を語るより、嘘を信じさせろ!

現実と幻想、その狭間で繰り広げられる、不思議なミステリー。

今回紹介するのは、漫画『虚構推理』。

妖怪や亡霊が実在する世界を舞台に、“知恵の神”と呼ばれる少女と、異能を持つ青年が難事件に挑みます。

この漫画の魅力は、なんといってもこの3つ。

  • 岩永琴子というキャラのギャップとおもしろさ
  • 真実より“虚構”が世界を変えるミステリー構造
  • 桜川九郎という、優しさと狂気を併せ持つ異能者

ちょっと変わったミステリーが読みたい人や、ファンタジーやオカルトが好きな人には特におすすめ。

ミステリー、恋愛、バトル──全部詰め込まれたこの作品、“納得できる嘘”が、事件解決のカギとなります。

※この記事は漫画『虚構推理』1~3巻のネタバレが含まれています。作品をより楽しむために、未読の方はご注意を!

マンガアプリ『マガポケ』に掲載されているので、まずは無料で読んでみてください!

マガポケ - 人気マンガが毎日楽しめるコミックアプリ

マガポケ – 人気マンガが毎日楽しめるコミックアプリ

Kodansha Ltd.無料posted withアプリーチ

目次

あらすじ

妖怪や幽霊、都市伝説が実在する世界。

“知恵の神”として妖怪たちに頼られる少女・岩永琴子は、人ならざる存在たちのトラブルを、知恵と話術で解決しています。

そんな琴子が一目ぼれしたのが、不死身の体と未来を決める能力を持つ青年・桜川九郎。
2種類の妖怪の肉を食べさせられ、常識から外れた力を得た彼を、琴子は半ば強引に自分のパートナーに巻き込んでいきます。

ふたりが挑むのは、「鋼人七瀬」と呼ばれる怪異。
アイドルの死をきっかけにネット上で生まれた都市伝説の亡霊で、今では実体を持ち、現実の事件まで引き起こす存在です。

物理攻撃の効かない亡霊にどうやって勝つのか!?

これは、真実ではなく“虚構”を駆使して戦う、知略と幻想のミステリー。

¥594 (2025/10/14 20:42時点 | Amazon調べ)

漫画『虚構推理』の魅力①|お嬢様のようで中身はおじさん!?岩永琴子のギャップがクセになる

主人公・岩永琴子は、一見するとお人形のように整った顔立ちに、上品なお嬢様風の服装。
でも、その中身は中年のおじさんばりの毒舌&下ネタ&強引さ。

このギャップに最初は衝撃を受けたのですが、だんだんクセになりました。

彼女は幼いころに妖怪たちにさらわれ、“知恵の神”になるよう頼まれ、それを引き受けます。
そしてその代償として、左足と右目を失いました。

一眼一足という神格を思わせる存在ながら、口を開けば庶民的で、妙に現実的。
そんな琴子が妖怪たちのトラブルを次々に知恵と話術で解決していきます。

妖怪たちからは「おひいさま」と呼ばれ親しまれ、日常生活や事件解決のための協力を得ています。

不死身の青年・桜川九郎との掛け合いも楽しく、ときに真剣なミステリーの中に、思わず笑ってしまうようなやりとりが挟まれるのも魅力のひとつ。

妖怪、怪異、殺人事件……とシリアスな題材を扱いながらも、琴子というキャラクターの存在が、この作品をテンポよく、軽やかに読ませてくれます。

漫画『虚構推理』の魅力②|“虚構”で“真実”を上書きする、知略と論理のミステリー

ふつうのミステリーなら、“妖怪や怪奇現象に見えるけど、実はトリックでした”というロジックで謎を解くもの。

でもこの作品では、そもそも妖怪も怪物も本当に存在しています。

つまり、「妖怪が犯人」は真実。でも、それをそのまま言うわけにはいきません。
だから必要なのは、“みんなが納得する嘘”で真実を塗り替えること。

たとえば鋼人七瀬のような都市伝説の怪異に対して、琴子がぶつけるのは“もっともらしい別の物語”。

それがどんなに事実と違っていても、論理が通っていておもしろく、読んだ人たちに「これが真相なんだ」と思わせるのが勝利条件です。

なのでこの作品は、トリックを暴くのではなく、“納得できる嘘”で現実を上書きする、そんな知恵比べ。
つまり”虚構”で”幻想”を倒す。

そんなミステリーであり、心理バトルでもあるような戦いです。

論理的かつ誰もが信じたくなる嘘という勝利条件は厳しいし、仕組みはとても複雑。

でもどこかトンチのような面白さがあって、読むたびにニヤリとしてしまうんです。

漫画『虚構推理』の魅力③|“虚構”と“現実”をつなぐ、不死の青年・桜川九郎の存在

どれだけ完璧な嘘を組み立てても、それだけでは怪異は倒せません。

必要なのは、運ではなく確実に勝つ方法。

琴子の立てた理屈を、現実として成立させるための最後のピース――
それが、桜川九郎です。

彼には2つの特異な能力があります。

ひとつ目は、“くだん”の肉によって得た「未来決定能力」。
未来を“視る”のではなく、“選び、確定させる”力です。
起こりうる未来の中から、最も都合のよいものを選び、現実にする。
ただしこの能力は、瀕死の状態でなければ発動しません。

そこで与えられたのが、人魚の肉。
九郎の体は、何をされても死なない不死身の肉体になっています。
しかしその代償として、彼は痛みを感じず、自分の危機にむとんちゃく。
その戦い方は、静かで合理的で、どこか淡々としていて――だからこそ異様です。

しかも彼の未来決定能力は万能ではなく、
“今この瞬間に選べる、確率の高い未来”しか決定できません。
強いけれど制限がある。だからこそ戦略が生まれる。
こういう設定は、個人的に大好きです。

そんな九郎がいるからこそ、琴子の論理は現実になる。
論理だけでも、力だけでも怪異は倒せない。
“虚構”と“現実”、このふたつが噛み合ってはじめて、『虚構推理』は成立するのです。

そして九郎は、琴子の恋人……なのか、相棒なのか、その曖昧な距離感もまた魅力。

普段は振り回されつつも、大事な場面では黙って動いてくれる。

「お前のために何度でも死んできてやる」

この言葉に、すべてが詰まっているのでは?

このふたりは、妖怪でもなく、もう完全な人間とも言い切れない。
幻想と現実のあいだを生きる者同士だからこそ、並んで歩いていけるのかもしれません。

『虚構推理』は、そんな少しズレたふたりの、不思議で絶妙なコンビが織りなす物語です。

まとめ

『虚構推理』は、”知恵の神”と呼ばれる岩永琴子が、”虚構”を使って怪異と戦うミステリー作品です。

特に魅力的なのは

  • お嬢様のようで中身はおじさんな“知恵の神”・琴子
  • 嘘で怪異に立ち向かうというユニークな構造
  • 幻想と現実のあいだを歩くふたりの絶妙な関係性

の3つ。

妖怪も、怪異も、異能も、そして恋も──全部詰まった、ちょっと不思議でとても魅力的な漫画『虚構推理』。

ちょっと変わった推理が気になる人は、ぜひ読んでみてください!

『虚構推理』が読めるマンガアプリ
マガポケ - 人気マンガが毎日楽しめるコミックアプリ

マガポケ – 人気マンガが毎日楽しめるコミックアプリ

Kodansha Ltd.無料posted withアプリーチ

目次