漫画『葬送のフリーレン』感想|魔王討伐の“その後”を描く切なく温かいファンタジー

勇者が魔王を倒した“その後”の物語——。

今回紹介するのは、大人気漫画の『葬送のフリーレン』。

魔王討伐後の世界を舞台に、長命のエルフ・フリーレンが人の心と向き合いながら旅を続ける物語です。

普通の冒険譚とは違い、仲間との絆を回想し、新しい出会いの中で成長していく姿が大きな魅力。

本記事で紹介する見どころは3つ。

  • 魔王を倒した“その後”を描く、異色のアフターファンタジー
  • 回想から滲む、勇者ヒンメルの優しさと余韻に満ちた日常
  • 技と研鑽がぶつかる、時間の流れが深みを生む魔法バトル

人々との関わりがじんわりと暖かくしみる。

『葬送のフリーレン』は、幻想的で心に残る新しいファンタジーです。

※この記事は漫画『葬送のフリーレン』1巻のネタバレが含まれています。作品をより楽しむために、未読の方はご注意を!

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目次

あらすじ

魔王を討伐した勇者パーティーの魔法使い・フリーレン。

長寿のエルフにとって、仲間と過ごした10年の旅はほんの一瞬に過ぎなかった。

しかし、勇者ヒンメルの死をきっかけに、仲間のことを何も知らなかったことに気づく。

深い喪失感に戸惑いながらも、「人を知る旅」へと歩み出す。

魔王討伐後の世界を舞台に、仲間との思い出の地を巡りながら、人の心に触れていく——。

『葬送のフリーレン』は、切なくも美しいファンタジー作品です。

漫画『葬送のフリーレン』の魅力①|ファンタジーに溶け込む“人との関わり”が生む温かさ

多くのファンタジー作品は、勇者が成長し、魔王を倒したところで物語が終わります。

けれども、キャラクターたちの人生はその後も続いていくはず。好きな作品ほど「この先、どう生きていくんだろう?」と気になってしまいますよね。

『葬送のフリーレン』は、そんな“物語のその後”を描く作品です。

魔王討伐を終えた勇者ヒンメルたちが、王都へ戻る馬車の中で「帰ったら仕事を探さないとな…」と話すシーン。

「この先の人生の方が長いんだよな…」という何気ない言葉が、華やかな冒険の終わりを感じさせます。

まるでゲームをクリアしたあとの、現実に戻る瞬間のようです。

ただしフリーレンは長命のエルフ。
人間にとっては人生をかけた10年の旅も、フリーレンにとってはほんの一瞬に過ぎません。

笑い合い、失敗し、楽しい日々を重ねてきたはずなのに、それらが淡い記憶の断片としてしか残らない。

そして年月が過ぎ、勇者ヒンメルが老いて亡くなるとき、「自分は仲間のことを何も知らなかった」と気づきます。

その後悔を胸に、フリーレンは“人を知る旅”へと歩み出すのです。

魔王を倒したあとの世界で、仲間を思い出しながら人々と触れ合うフリーレンの姿は、切なくも温かい余韻を残します。

もちろん私たちはフリーレンのように長命ではないけれど、何気ない楽しい記憶や、やり残したことを思い出す。

『葬送のフリーレン』は、ファンタジーでありながら心が温まるヒューマンドラマのような作品です。

漫画『葬送のフリーレン』の魅力②|「勇者ヒンメルならそうした」人々に受け継がれる勇者の意思

『葬送のフリーレン』は、“物語のその後”のファンタジーなのですが、ちゃんと勇者ヒンメルの冒険もかっこよく描かれています。

フリーレンが旅を続ける中で、かつて勇者一行として訪れた場所へとたどり着く。

そこで思い出されるのは、現在とリンクする回想シーン。

記憶の中に登場する勇者ヒンメルは、かっこよく、ナルシストで、いつもフリーレンを大切に想っています。

くだらないような日常のやり取りも「もっとこの冒険を見ていたい」と、そう思うほどの楽しそうな日々。

そして、ヒンメルは困っている人を決して見捨てない、理想の勇者でした。そんな姿に心を動かされた人々は、ヒンメルの死後もその優しさを忘れません。

「勇者ヒンメルならそうした。」

この言葉を聞くたびに、ヒンメルがどれほど大きな存在だったのかが伝わってきます。

勇者ヒンメルが亡くなったあとも、その意思は人々に受け継がれる。

ヒンメルのさりげない優しさや、誰よりも仲間を大切にする姿が描かれるたび、「やっぱりヒンメルって最高の勇者だったな…」と感じずにはいられません。

“魔王を倒した後”の物語を描きながらも、読んだ後に心に強く残るのは勇者ヒンメルの姿。

『葬送のフリーレン』は、勇者ヒンメルの物語も楽しめる作品です。

漫画『葬送のフリーレン』の魅力③|時間が紡ぐ奥深い“魔法バトル”の駆け引き

『葬送のフリーレン』は、温かい人間ドラマだけでなく、本格的な魔法バトルも大きな魅力です。

ファンタジーと言えば魔法を使った戦いはかかせませんが、この作品の魔法はひと味違います。

その象徴的なエピソードが、かつて勇者一行が封印するしかなかった強敵・腐敗の賢老クヴァールとの戦い。

クヴァールの強さの秘密は、防御魔法すら貫通する“人を殺す魔法(ゾルトラーク)”。

ゾルトラークによって、過去には多くの魔法使いが命を落としました。

しかし80年の時が経ち、状況は一変。
封印の間に“ゾルトラーク”は研究されつくし、今では防御魔法によって対抗できる“ありふれた魔法”へと変わっていたのです。

とはいえクヴァールもすぐに防御の弱点を見抜き、怒涛の攻撃を仕掛けてきます。

それでも、フリーレンの弟子・フェルンは防御魔法を応用し、クヴァールの猛攻を完全に封じてみせました。

最後はフリーレンが静かに“ゾルトラーク”を放ち、同じ魔法で圧倒的な格の違いを見せつける。

淡々とした一撃で決着をつける姿は、まさに熟練の魔法使いの貫禄です。

派手な魔法を撃ち合うだけではなく、魔法の歴史や人々の研鑽が感じられる奥深さ。

『葬送のフリーレン』の魔法バトルは、フリーレンの圧倒的な強さ、魔法のかけ引き、そして時間の流れによる魔法の変化が楽しめるのが魅力です。

ほのぼのだけではなく、ひりついた魔法バトルが見たい人にもおすすめですよ。

まとめ

『葬送のフリーレン』は、魔王討伐後の“その後”を描いた、切なくも温かいファンタジーです。

特に魅力的なのは、

  • 人を知る旅を通して描かれる、切なく温かなヒューマンドラマ
  • 回想シーンに登場する勇者ヒンメルのかっこよさ
  • 派手さだけでなく、時代の流れや駆け引きが詰まった魔法バトル

の3つです。

冒険を終えた後も続いていく人々の物語は、ほのぼのと心を温め、ときに胸を打ちます。

『葬送のフリーレン』は、ファンタジー好きはもちろん、じんわり心に残る物語を探している人にぴったりの作品です。

未読の方は、ぜひ読んでみてください。

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